オズの本棚

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30代中小企業診断士が自分が読んで役立ったビジネス書をご紹介。悩める若手〜中堅ビジネスマン向け書評ブログです。

【レビュー】未来化する社会

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評価:★★★★☆

この本は、未来について、考えさせられる一冊です。著書自身が、1990年代の学生時代にどんな本が読みたかったかという問いに対して、インターネットやデジタル化が進んだ現代の主要産業が知りたかったという思いから、2035年前後における世界の主要な産業と技術について、具体的に予測されていて面白かったです。

概要

 原題は「THE INDUSTRIES OF THE FUTURE」。著者は、2008年米国大統領選でオバマ陣営のメディア政策を担当したアレックス・ロス氏。国務省時代に、長官のヒラリー・クリントンの元で、外交政策イノベーションの専門家として世界を飛び回っていたという経歴の持ち主です。本書では、世界のトップやイノベーターとの会話から出てくるエピソードが紹介されているため、そのあたりが読み味に深みを持たせてくれています。

ポスト・インターネット革命

これまでの20年間、世界はインターネットと共に発展していきました。本書では、インターネットの発展によってもたらされたグローバル化よって、多くの人類が中流層へと生活を向上させることができたと主張しています。一方で、これからの20年間では、持つものと持たざるものの格差がより拡がっていくと指摘しています。では、一体何を持つべきなのか。その問いに対して、最終的には「人」の資質を活かせる環境にあるかどうかであると述べています。

これから仕事をするならココ

本書の構成は、6つのトピックスに分けられています。これからの生活を大幅に変えるロボット技術とゲノム産業。これまで難しかった市場・貨幣・信用のデジタル化。デジタル化の発展により、これまで以上に重要になるサイバー・セキュリティ技術。加えて、それらの技術が指数関数的に排出するビックデータの解析技術。そして、上記のような産業・技術を活用するための社会的な土壌について、語られています。ざっくり本書の構成をイメージしたのが下記の図です。

 

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これからを生きるために必要なもの

本書の最終章には、ロス氏が世界の著名人たちにインタビューの際に必ずしたという質問が掲載されています。その質問の内容は「将来の経済に身を置く子どもにどのような資質が必要になるのか」というものです。回答にはなんとなく共通していそうなものがあり、例えば、多文化をまたいでいく素養や技術の言葉を理解すること、分析力、昔ながらの一般教養などが挙がったようです。その中で、一番刺さった言葉が次のフレーズです。

経済の多様性が増し、変化の速度が速まるなか、グローバルビジネスの投資家も当事者も、新たに労働力になる若い人たちと同じように、機動性を備え、文化をまたいで活躍できなければならない。

<終わりに この世で最もだいじな仕事 P.371より>

いくつになっても、若い人たちと同じ視線にいないといけませんね。子どもだけでなく、20年以上生きると思っている方は必見です。

まとめ

ショートショートの神様と言われている星新一の世界観、僕は大好きです。ロボットや不老不死の薬などが出てくる物語を幼い頃から読み耽っていました。そして、その世界が徐々に現実のものとなってきています。本書を読みながら、50代前半の自分自身の姿を想像すると、このままの延長線で仕事をするのではなく、早いタイミングで、仕事の領域を拡張していくべきかと思いました。